製鉄所見学してきた。その2


その二
2006年某日

そんなこんなでちょっぴり複雑な心境ながらも、見学は生産ラインの見学終了。
ついでにちょっとお話が、、、の話。

なんでも今回お邪魔した千葉地区の製鉄所は、じりじりっと新しい設備に敷地内を移動中。
そんな折に、鉄鉱石を溶かして鉄を作るいわゆる”高炉”も一機稼動を止めたそうだ。

大きすぎて写真に納まらない。
なんでも高さは100mあるとのこと。


これが、近くで見ると大きさもすごいんだけど、密度も凄い。
九龍城も目じゃないって密度。

壊しかけだから、まさに巨大廃墟。
大好きなテリーギリアムやらジュネやらリドリースコットやら、
そんな映画の中の世界が目の前にある感じ。

すげぇなぁ、、これも誰かが作ったんだよなぁ、、、

引きに引いてやっとなんとなく全体が写った。


色々と教えてもらったんけど、大まかに分けて、、、


鉄鉱石を溶かすための熱を作り出す”熱風炉”
その送り込まれた熱で鉄鉱石を溶かす窯、”高炉”本体。
そしてその粉塵などをまとめる集塵機など、各機能が合わさった状態がこ
の巨大な建物のようなシルエットになっている。

実のところ、溶鉱炉本体は幅10メートルくらい縦80メートルくらいの縦に長いヤクルトの様な
形をしていて、それをくるむように色々な設備がくっついている。
そんな構造なので、肝心の高炉本体(炉体)は外からよく見えない。

自分の好きなデザインと言えば、形が形の為にあるんでなく、
機能から生まれた形と言うか必然から生まれるフォルム。
ここにあるのが、まさにその究極。
鉄を溶かすために生まれた形を、その機能をサポートする形が覆う。
一つ一つに密度の高い機能があり、それがまとまリ"鉄を作る”というシンプルな目的に向かう。
人間は想像するものは全て作る事ができる、そんな感じの言葉を聞いた事があるけど、
納得せざる得ない。

興奮が少し醒めた辺り、我に返って考えてみる。


ここで、鉄が作られていた。

その鉄を作る高炉自体も鉄で作られている。
一番初めは炭だの薪だので少しの鉄を作って、、、
今度は、その鉄を使って、るつぼを作ってより多くの鉄を作り、、、
鉄が鉄を溶かしながら至ったのがこの姿。

なんか生き物みたいだねぇ。
もちろん、実際には人がやってきた事だから、生き物云々でじゃなくて単なる素材ってのは分かってる。
でも、鉄を作るもの自体も鉄できているという事、なんだかすごく想像を掻き立てられる。
鉄すげぇ。

そんな感じで大興奮の中、案内をしてくれた人に色々聴いてみた。
とにかく見るもの全てがダイナミックで、男ならあこがれるねぇ、、、そんな話をした。


意外にも、帰ってきたのは醒めた話。

高炉は火を絶やす事がないから、24時間体勢。
なかなか大変な仕事。
この高炉を初めとする、ちょっとした国のような製鉄所。
昔に比べると、若い人の来る率は少しづつへっているようだ。
案内をしてくれた人曰く、

「やはり、若い人は洒落た職業の方がいいみたいですね」


なんだそりゃ。


こんな仕事こそ、でっかい夢とか持てそうなもんだけど。
このご時世、ここまでダイナミックな仕事ってのもなかなかないだろうに、、
なんだかかなり寂しい気持ちに。
世知辛いねぇ、、
作るって事は絶対に楽しいぞ若者。

こんな見学の後、お願いしたい事、、の話になった。

要約するとこんな話だった。

この高炉を停止して壊すに至った。
高炉は24時間一時も休まずに動き続けて、いつか寿命が来るとの事。
生き物みたいだ。
しかしながら、ただ壊すには惜しいものでなんとか記念に残したいと言う話もあったと。
とはいえそうもいかないので、壊した部品も使ってもらって、この高炉のモニュメントを作りたいと。
まぁ、本物は100mなんで、1/10くらいの10mで。

デカイ話だ。
俺にやれって言ってるのか。
つーか、こんなスゲェもの見せられたらなに作っても勝てる気がしねぇ。
ここでうっかりやるって言ったら本当にやる事になるんだろうな、、。
下手な事言うとやべぇぞ、、、

でもだ。
鉄って言っても、買ってきた鉄をカンカン叩いていたわけだ。
それが、いわば鉄の総本山が鉄を生み出す高炉のモニュメントを作れって言ってる。
末端の人間にこんな形で声をかけてくれるなんて粋な話だ。
大体からして、大きなもの作れっていわれたら血が騒ぐ。

 

 

やる、って言った。

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